葬祭扶助

【生活保護受給者のお葬式『福祉葬』と札幌市の葬祭扶助制度について】
生活保護を受けている世帯など、葬儀費用を捻出できない場合には自治体から葬儀費用の補助を受けられる制度があります。
今回はそんな〖葬祭扶助制度〗についてのお話です。
必要な手続きや、葬祭扶助制度を利用した葬儀の内容について説明します。
生活保護の方の葬式『福祉葬』と『葬祭扶助制度』とは
葬式を行うにはお金がかかるものです。
たとえ豪華な葬儀をしなくても、死亡診断書や火葬にかかる費用など必ずお金が必要となります。
生活保護受給世帯などで葬儀費用を捻出できないほど生活に困窮している場合は、自治体が葬儀費用を支給する『葬祭扶助制度』があります。
この『葬祭扶助』の支給を受けて行う葬儀を『福祉葬』と言います。
葬祭扶助制度はどのような場合に申請できるのか?
葬祭扶助制度を申請できるのは下記のどちらかの場合です。
①扶養義務のある親族が亡くなり葬儀を執り行わなくてはならないが、自身が生活保護受給者で葬儀費用を捻出できない場合
②生活保護を受けている方が亡くなり、遺族以外の方が葬儀を行うことになった場合
福祉葬で一番多いケースは、生活保護受給者が亡くなり、同じ世帯の家族が葬儀を行う場合です。
生活保護は世帯範囲で対象となるので、残った家族も生活保護対象となります。
故人が生活保護受給者でも葬儀を行う親族が別世帯で、生活保護対象でなければ葬祭扶助を申請することはできません。
生活保護の方が亡くなり葬儀を行う親族がいない場合は、家主さんや民生委員の方が葬儀を執り行う場合もあります。
〖自治体によって異なる葬祭扶助の支給金額、札幌市の場合は?〗
葬祭扶助の支給金額は自治体ごとに異なりますが、共通しているのは火葬式・直送と呼ばれる『最低限の葬儀』ができる費用だということです。
これは、政治と宗教は分離されるべきだという『政教分離の原則』から、自治体が特定の宗教の葬儀にかかる費用を出せないためです。
《札幌市の葬祭扶助基準》
・大人 21万2千円以内
・子ども(12歳未満) 16万9千600円以内
(1万5千580円を超える運搬料については7千480円以内)
(令和5年7月~)
葬祭扶助の対象は葬儀代、遺体の運搬や火葬にかかる費用、死亡診断書などの費用となります。
*通夜・告別式の費用や僧侶への読経料,戒名料,香典返しや花代などは一切含まれません。
前述②のパターンで、故人が遺した金品で葬儀費用の一部を支払える場合は、足りない分の支給となります。
〖葬祭扶助制度申請の手続きと注意点〗
葬祭扶助を申請して福祉葬を行うまでの流れをご紹介します。
1.福祉葬対象者の死亡を確認
2.葬祭扶助申請者(葬儀施主)は自身の住民票のある自治体の保護課へ連絡
3.死亡届提出時に保護課へ葬祭扶助の申請をする
4.葬儀会社へ葬儀を依頼 ※その際には葬祭扶助制度を利用することを伝える
5.葬儀を執り行う
6.自治体から葬儀会社へ直接費用の支払いが行われる
※葬祭扶助の申請で最も注意すべきことは『葬儀の前に申請を行う』ことです。葬儀会社への依頼が先になってもかまいませんが、その場合は葬祭扶助制度を申請することを葬儀会社にも必ず伝えましょう。
故人と申請者の住んでいる自治体が別の場合は、基本的には申請者の住民票のある自治体への申請となります。
しかし、故人の住民票がある自治体の条件の方が良い場合などもあります。
その場合は故人の住民票のある自治体へ一度相談してみても良いでしょう。
福祉葬で香典をもらった場合、支給金額から差し引かれることはありませんが別途収入として申告が必要です。
また、葬祭扶助支給金額に自分たちで費用を足して葬儀を少し豪華にするということをしてはいけません。
その場合は葬儀費用を支払えると見なされ、制度の利用ができなくなります。
〖福祉葬で執り行われる『火葬式・直葬』の内容〗
葬祭扶助の支給により執り行われる『福祉葬』は、宗教儀式やもてなしを含まない必要最低限のごくシンプルな内容の葬儀となります。
『火葬式』『直葬』と呼ばれ、通夜や告別式は行いません。
①遺体を搬送・安置(ご自宅か斎場)
②納棺
③火葬・収骨
④自宅祭壇へ遺骨を安置
【まとめ】
家族や親族の葬儀を執り行わなくてはならないが生活保護を受けていて葬儀費用が出せないという方、生活保護の方の葬儀を行う親族以外の方は、自治体へ葬祭扶助制度の申請をすることができます。
葬祭扶助の支給金額は自治体によって違いますが、札幌市では21万2千円(12歳以上 令和5年7月~)です。