自宅葬

自宅葬とは、故人の自宅で通夜・告別式を執り行うことです。

【自宅葬のメリット・デメリット】
自宅葬には、斎場で営む葬儀とは異なるメリット・デメリットがあります。自宅葬をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
〖自宅葬のメリット〗
・思い出の詰まった場所で、ゆっくりと故人を送ることができる
故人の思い出が詰まった自宅で、時間までゆっくり故人と過ごせる点は、自宅葬の大きなメリットです。長い闘病生活を病院などで過ごした故人に、せめて旅立ちの時まで大好きな自宅で過ごさせてあげたい、というご遺族の願いを果たすことができます。
・式場費用がかからない
斎場やセレモニーホールを利用する場合、利用料金が必要なケースがあります。しかし、自宅葬なら式場費用は不要です。その分リーズナブルな点は、自宅葬のメリットでもあります。
〖自宅葬のデメリット〗
一方デメリットは、ご遺族側でもさまざまな準備が必要だということです。
例えば、ご遺体を安置するためのスペースを確保するために、家具を移動させる場合があります。また、弔問に訪れる方のための駐車場を確保したり、接待のための食事や部屋を用意する必要もあります。近隣に迷惑がかからないように、話し声や人の出入りへの配慮も欠かせません。葬儀が終わった後の片づけもすべてご遺族で行うため、体力的に負担がかかります。

【自宅葬の注意点】
自宅葬を営む場合、以下の4つのことに気をつけてください。
①自宅がマンションの場合、葬儀を行えないこともあります。前もってマンションの規約に目を通し、自宅葬を執り行うことができるのかを確認しておきましょう。また、団地にお住まいの方は、団地内や近隣にある集会所を利用できることもあります。
②自宅がマンションの高層階の場合、エレベーターに棺が入る奥行きがあるか確認しておきましょう。棺が入らない場合は、自宅葬の再検討が必要となるかもしれません。
③ご近所付き合いがない場合でも、事前に近隣へ自宅で葬儀を行う事を連絡しておきましょう。葬儀の当日は、人の出入りが多いだけでなく、焼香の匂いや人の話し声など、近隣への影響も考えられます。後々のトラブルを防ぐ点からも、自宅が一戸建ての場合は両隣、自宅がマンションの場合は両隣に加え、上下階の方にあいさつしておくことをおすすめします。
④弔問に訪れた方が、他の住人の駐車スペースを使っていたり、路上駐車をしている場合は、車を移動してもらうようにしましょう。駐車スペースの確保が難しい場合は、公共交通機関やタクシーで向かってもらうように、あらかじめお願いしておくことが大切になります。

【自宅葬の流れ】
それでは、自宅葬はどのように進行していくのでしょうか。流れに沿って、見ていきましょう。
❶ご臨終
 病院で亡くなった場合は、寝台車で自宅まで搬送します。
 自宅で亡くなった場合は、ご遺体を動かさないでください。
 まずはかかりつけの医師または警察に連絡を入れましょう。
❷自宅にてご遺体を安置し、ご遺体の枕元に枕飾りを設置
❸死装束を着せたり死化粧を施したりして旅立ちの準備をし、納棺の儀式を行います
❹祭壇を設営します。スペースの確保が難しい場合は、家具の移動などをします
❺通夜
 故人とのお別れ、弔問客の受付と接待を行います。
❻葬儀・告別式
 故人とのお別れ、弔問客の受付と接待を行います。
❼自宅から火葬場まで霊柩車で出棺します
❽最後のお別れを行い火葬場で荼毘(火葬)に付します

【自宅葬にかかる費用】
式場使用料が必要ない自宅葬では、結果的には葬儀会館や斎場に比べて費用が低くなることもあります。しかし、ご自宅で葬儀を行う場合、葬儀社は葬儀の道具をご自宅へ運び祭壇の飾り付けや各種葬祭に関する道具が必要であったりすることから出張設営費用が掛かりますので、一概に自宅葬だからと葬儀費用が安くなるとも限りません。
そして、近しい方を亡くされた悲しみを抱えながら自宅で葬儀を行う事は、遺族にとって大きな負担になることが考えられます。自宅葬を受け付けている葬儀社のなかには、地域や規模によって異なりますが、自宅葬プランを設けているところもあるので、検討してみるのもよいでしょう。

【まとめ】
長年住み続けた家族団らんの場で執り行う自宅葬。出棺までの時間、故人とゆっくり別れの時間を持つことができます。一方、自宅を片づけたり、葬儀を行う準備が大変になることがデメリットとして挙げられます。
自宅葬は斎場での葬儀と同じような流れで進行します。臨終を迎えた故人を自宅まで搬送・安置。納棺の儀式を終えたあとは、祭壇を設置します。通夜・告別式で弔問客の接待や故人との最後のお別れをし、出棺、火葬という流れになります。
自宅葬は葬儀会館・斎場での葬儀に比べ、必ずしも費用が安くなるわけではありません。葬儀ではしなければならないことがたくさんあり、斎場や葬祭会館で行うよりも準備や手間がかかります。精神的・肉体的負担を軽減させるためにも、葬儀社に相談し、適切な式場を選ぶことが大切です。核家族化やスペースの問題などの理由で自宅葬を行う人は減っていますが近年、自宅葬が見直されています。